2006年12月06日

面影の女(ひと)

 『面影の女(ひと)』と言うても、漫画サンデーに長期連載されていた『面影の女』でも、謎のインド人演歌歌手チャダのデビュー曲、『面影の女』でもないことを先に断っておきましょう。

まぁ、これがわかる人も世の中にそんなにいるとは思えないけれど・・・。

 昨日まで、サンテレビで朝の11時から“R−17”っていう中谷美紀主演のドラマの再放送をしていたのだが、その後から始まる“水滸伝”が見たくてチャンネルを合わせていただけやったんや。

ホンマにただそれだけのこと。

そんな偶然があるとは思わなかった。

この日で“R−17”は最終回やったんやけど、だからって見ようと思ってたわけではなく、ただ目に入っていただけのこと。

エンディングロールが何気なく目に入っていたとき、スタッフのところで俺に電気が走った。

〜スタイリスト ○○○○○・・・〜

「しーちゃん!」

そこに流れたテロップは、まさしく俺が20年前に愛した女の名前やった。

ちゃんとココまでになったんや・・・。

同姓同名ってことはないはずやねん。

チョッと珍しい彼女の名前を俺が間違えるはずがないやん。

嬉しかったねぇ・・・ホンマに嬉しかった・・・と同時に今の俺は見せられないなと思った。

 若かったんよね、俺も。

子供やったよ。

出会った頃のしーちゃんは、六本木のDISCOのレジっ子をしてたんよ。

俺がどっかの現場が終わった後で、アートビデオの一郎ちゃんと遊ぼうかってことになって、ナンパしにDISCOでも行こうかってことになってね。

男2人でも入れてくれるかって電話したら、大丈夫やでっていうことで、そこへ行ったんよ。

ただそれだけのはずやったんやけど、チケット両替しに行ったら、こっそりチケットの束くれたりしてね。

その日の彼女が上がりの時間まで遊んで、誰も引っかからなかったからって言うわけやないけど、チケット山ほど貰ったんで、お礼を兼ねて飯でも行こうって誘ったら、付き合ってくれたんよ。

それで歌舞伎町の行きつけの寿司屋で寿司食ってるときに、何となく口説いて何となく俺のうちに来て・・・それで付き合いが始まったわけ。

ホンマに生稲晃子より可愛かったけど、その日まではそんなこと思わなかったんやで。

ホンマに偶然というかタイミングというか・・・北海道生まれで色がメチャメチャ白くてキレイやったなぁ。

この時、付き合ってた女を切ったもんな、しーちゃんのせいで・・・。

ちょうど付き合い始めて3週間後が俺の23歳誕生日やったんで、その日にどっちと過ごすかでもめてね。

薄情にも前の女とは別れてしまいました。

今やったら上手に出来たやろうなぁ・・・。

 その時に、時計を貰ったんですよ。

俺、その時計を35くらいまで肌身離さず持ってたわ。

他の女に時計あげようかって言われても、いっつもあるからいらんて言うてた。

そのくらい大事にしてたんよね。

でも結局夏頃には別れてしまった・・・全部、俺が悪いんやけど・・・。

 それから会うことはなかったんよね。

俺は男優辞めて、漫才コンビを組み、食えないから渋谷の店でバイトをしながらせっせと女遊びをして、呑気にやってたんよ。

しーちゃんと別れて、もう5年くらい経った頃やったやろうか?

俺はいつも通り、夜な夜な店に行き、酒をあおりながらネェちゃんたちをボロクソに言いながら営業してたわけですよ。

そしたら何時頃やったやろう・・・?

渋谷の飲み屋の常連の子たちが来たわけですよ。

俺は、また来てるな・・・くらいの感じで、他の席で呑気に騒いでたわけ。

いつものように酔っ払って色んな席を回ってるときやったわ。

どこかから俺を呼ぶ声がするんよ。

「こうちゃん・・・」

俺はマグナムになってから、付き合った女にほとんど本名で呼ばしてなかったし、水商売しだしてから本名呼ばれることなんてなかったから、気が付かなかったんよ。

そしたら何回も「こうちゃ〜ん、こうちゃ〜ん」て呼ぶ声が聞こえる。

誰やろうって見ると、「こうちゃんでしょ?」って呼んだ子は・・・6年前に別れたしーちゃん・・・その人やったんですよ。

ビックリしたねぇ・・・こんなトコで逢うなんて思ってないもんね。

驚いたのは驚いたんやけど、こんなときなんて答えたらエェかわからんから困るよ。

 それ以上に、俺らを見て他の客も従業員も驚いてるわけよ。

一緒に来てた子にしたら、面白い店があるって連れて来てるのに、2人が知り合いやったら盛り上がらないし、従業員にしたら、いつもの俺とは全然違う状態やから、なんか訳アリって思うよねぇ。

色々聞かれたんやけど、その時はまぁ、知り合いですって感じで流して・・・。

しーちゃんは俺と別れてから、スタイリストを目指して修行してたんやって。

出会う前にあるアイドル番組で、しーちゃんらしき名前を見たことを思い出して、それを聞いたら本人やって言うてた。

それに比べて俺は、売れないコンビで食えないからバイトしてて・・・この6年の間にエライ差が付いてしまったなぁって情けなくなってね。

思わず言うてしまったんよ。

「俺のこんな姿見られたくなかったなぁ。あの頃みたいに金もないんや・・・笑ってくれよ。」

そしたら、しーちゃんが言うんよ。

「この前、テレビ出てたでしょう。私、見たけど、こうちゃん達が一番面白かったよ。頑張ってるのを見て嬉しかった。」

こんなんお世辞に決まってるやんなぁ。

一緒に出てたんは、今をときめく岸谷五郎、寺脇康文ともう1人の3人組“SET隊”、石塚と恵の“ホンジャマカ”、田口浩正の“テンション”、それに俺らと“エンジェル”やで・・・。

それでも嬉しかったけど・・・。

 話が盛り上がらないんよね、こういうときって・・・緊張してたんか、昔思い出してたんかは忘れたけど、周りに突っ込まれたくなくって盛り上がれなかったのは事実。

しーちゃんもそうやったんか、俺に唄を歌えって言い出したんよ。

俺も場を繋ぎたくって、何歌おうかって聞いたら、「あの唄歌って・・・いつも歌ってたやつ」。

そんなこと他の従業員に聞かれたら、絶対ネタにされるやんと思ってたら、キッチリ聞かれててね。

「今日はマグちゃんの元彼女が偶然来ていて、いつものマグちゃんと違います。今から思い出の唄を歌うそうです。」とか司会に言われてなぁ・・・最悪やで、ホンマに。

それでも歌いましたよ。

付き合ってた頃、飲みに行くたびに歌ってた歌。

今思えば恥ずかしくなるような、今みたいにカラオケBOXで2人っきりで歌うんやなく、ステージのあるカラオケPubで、満席の客を前にしてしーちゃんだけを見て歌ってたあの曲。

THE MODSの森山達也が、唯一ソロで出した『LOVEかくし色』。

♪ No No No No 恋は かくし色 あーぁー 

  深い場所で この俺をいつも 酔わせてくれ

  No No No No お前の かくし色 あーぁー

  抱いたその色 この俺がきっと 変えてやる  ♪

寒い・・・あまりにくさくて寒いのなんのって・・・この時口説いてた客なんて、もうチョッとで落ちるトコやったのに、怒って帰ってしまったわ。

 それでお返しにしーちゃんもなんか歌えやって言うたら、こんなの歌いよんねん。

高橋真梨子の『ジュン』。

これ聞いただけで、別れたんは俺が悪いってバレバレやん。

まぁ、終わったことやし、俺はなんて言われてもエェんやけどね。

でもその時、思ったんよ。

これでまたしーちゃんと逢えるかなぁって・・・。

あのときより俺も大人になってたから、今ならちゃんと付き合えるかなぁなんて密かに思ってたことは確か。

もしかしたらそんなこともあるかなぁって・・・。

好きやった言うわけでもなかったやろうにね。

 ところがあれから一度も逢うことはなかった。

俺から彼女がバイトしている店に行こうとは思わなかったし、彼女も来なかった。

理由はわからないけど、その方がエェと思ったんやろうねぇ・・・。

そんな彼女の名前を昨日見たわけよ。

このドラマがいつ頃のものかはわからないけど、少なくともあの頃より後なのは間違いない。

と言うことは、俺がフラフラしながら色々やってた頃に、しーちゃんはちゃんと自分の道を歩いてたんやなぁってことだけはわかる。

ホンマに嬉しくなってくるよ。

彼女が今の仕事を続けてる限り、どっかでまた逢うこともあるかもしれない。

そのために俺は今よりもっと世に出て行かなきゃならないってこと。

もう一度、俺が生きてるってことを見せてやりたい。

もしかしたら嫁に行ってるかもしれない。

行ってて当たり前やし、それはそれで関係ない。

昔話がしたいわけやないんや。

なんやろう・・・良かったねって言うて欲しいだけなんかもしれない。

説明が付かないけど、そんな気がするんよ。

たぶんテロップ見てそんなこと思うのはこの世に俺だけやもん。

もう一度陽のあたる場所に行きたい。

ただそれだけ・・・それを見せてやりたいだけなんかもしれない。
posted by マグナム北斗 at 20:09| 大阪 ☀| Comment(8) | TrackBack(0) | 自虐的エッセイ『忘れられない女の話』 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
レモンをかじったような気持ちになりました。
ぜひ、見せてあげて。これからのあなたを。


で、謎のインド人”チャダ”は、思いっきり知ってますw
(嗚呼、せっかくのコメントが台無しだwww)
Posted by 柊子 at 2006年12月06日 22:40
>柊子さん

 見せますよ、これからの俺を・・・。

俺の映画のスタイリストで使いたいくらいです。

そしたらエェとこ見せられるもんねぇ。

 昔、宝島でなんきんさんが書いてた“奥様はチャダ”って4コマ漫画があったんやけどねぇ。
Posted by マグやん at 2006年12月06日 22:58
忘れえぬ人っていてないなぁ。
消化というか昇華してしもた感じかなぁ。
そんな人と今から出会えるかな?
って、「忘れえぬ」って別れが前提やからアカンがな、ですねw
Posted by ゆみ at 2006年12月07日 01:22
>ゆみさん

 男はわりと覚えてるもんなんですよ。
俺もやった女は忘れたのもいるでしょうが、付き合った女は覚えてます。
過去にとらわれてるわけではないんです。
ただ、自分の歩いてきた道が素晴らしいものやったっていう証なんですよ。
俺の場合は全て自分のことで覚えてるんですわ。
史上最高の男と付き合えた幸運な女のことを覚えててあげないと、もし彼女が俺の話を友達にしたときに嘘屋って思われたら可哀想やないですか。
だから俺が証明してあげないとアカンのですよ。
Posted by マグやん at 2006年12月07日 01:59
「マグナム伝説」の続編希望!
Posted by 通りすがり at 2006年12月07日 02:19
>通りすがりさん

 続編ですか・・・?

丸茂先生書いてくれるかなぁ・・・それとも自分で書くかやけど・・・俺はむりやろうなぁ。
Posted by マグやん at 2006年12月07日 07:57
「多情多恨」ていう言葉知ってますか。読んでてふと浮かびました。
かなりイイ気な男だなって思うけど、女の人に嫌われていないのはイイ男なんですね。その分自分もつらい思いもするわけだし。
それもこれも糧にしようとするなら、浮かばれるか。
Posted by Rinn at 2006年12月07日 08:53
>Rinnさん

 イイ気なもんでしょ・・・男って。
いや、俺がですね。
普段は忘れてても、あるときフッと思い出してしまうんですよ。
日々、そんな思いに元気付けられるときがありますね。
Posted by マグやん at 2006年12月07日 10:48
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